漢方薬のはなし17 ~「年齢のせいかな?」と思っていませんか? シニア犬・シニア猫の不調と漢方薬のお話~
獣医師の林です。
この「陽だまりしっぽ通信」では、当院で取り入れている漢方や、毎日の生活に取り入れられる東洋医学の考え方についてお話ししています。
前回の話はこちらへ → 「漢方薬のはなし16 ~季節の変わり目に増える下痢~」
ワンちゃんや猫さんも年齢を重ねると、少しずつ体調や行動に変化が現れてきます。
「最近、立ち上がるのが遅くなった」
「ごはんを食べたり食べなかったりする」
「お腹の調子が安定しない」
「夜中に鳴くことが増えた」
こうした変化を「もう年だから仕方ない」と思っていませんか?
実は、年齢による変化だと思っていた症状の中にも、治療やケアによって改善できるものがあります。
今回は、シニア犬・シニア猫によく見られる4つのお悩みと、東洋医学・漢方薬についてご紹介します。

① 足腰・関節の衰え
- 立ち上がるまでに時間がかかる
- 散歩を嫌がるようになった
- 階段や段差を避ける
- 歩き方がぎこちない
こうした変化には、関節炎や筋力の低下などが関係していることがあります。
東洋医学では、加齢に伴う足腰の衰えを「腎(じん)」の働きと関連づけて考えることがあります。
通常の治療や運動・体重管理などに加え、体質や症状に応じて漢方薬を補助的に取り入れることもあります。
② 食欲の低下・食ムラ
- 食べたり食べなかったりする
- 好きなものしか食べない
- 食事に時間がかかる
- 以前より食べる量が減った
シニア期の食欲低下には、歯や口の痛み、消化器疾患、腎臓病など、さまざまな原因が考えられます。
東洋医学では、食べ物を消化・吸収する働きを「脾(ひ)」や「胃(い)」と関連づけて考えます。
原因を調べたうえで、必要に応じて漢方薬を補助的に使用する場合があります。
③ 慢性的な下痢・嘔吐
- 軟便や下痢を繰り返す
- 吐くことが多い
- お腹が張りやすい
- 食後に気持ち悪そうにする
慢性的な胃腸の不調には、食事、炎症、膵臓や腸の病気など、さまざまな原因が隠れていることがあります。
東洋医学では、胃腸の働きや体質の傾向も考慮します。
漢方薬が補助的な選択肢になる場合もありますが、繰り返す嘔吐や下痢は、まず原因を確認することが大切です。
④ 認知機能・行動の変化
- 夜鳴きが増えた
- 昼夜逆転している
- 同じ場所をぐるぐる回る
- 呼びかけへの反応が鈍くなった
- 以前より落ち着きがなくなった
高齢のワンちゃんや猫さんでは、認知機能の低下によって生活リズムや行動が変化することがあります。
ただし、痛みや視力・聴力の低下、ほかの病気が原因の場合もあります。
東洋医学では、睡眠や行動の変化も全身の状態と合わせて考え、必要に応じて漢方薬を補助的に検討します。
漢方薬という選択肢もあります
当院では、西洋医学による診察・治療を基本に、症状や体質に応じて漢方薬を取り入れています。
東洋医学では、同じ症状でも、その子の体質や全身の状態によって考え方が異なります。
そのため、漢方薬はすべてのワンちゃん・猫さんに同じように使用するものではありません。また、効果には個体差があります。
大切なのは、その子に合った方法を一緒に考えることです。
「年齢のせい」とあきらめる前に
シニア期は、ちょっとした体調の変化に気づいてあげることが大切です。
「最近、少し歩きづらそう」
「食欲にムラがある」
「夜中に起きることが増えた」
そんな小さな変化でも、ぜひ診察の際にお聞かせください。
これからも、おいしく食べて、楽しく歩いて、穏やかに過ごせる毎日を。
ベイタウンペットクリニックでは、西洋医学と東洋医学の両方の視点から、シニア犬・シニア猫の健康をサポートしていきます。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。