漢方薬のはなし10 春からの皮膚病対策をしませんか?
獣医師の林です。
この「陽だまりしっぽ通信」では、現在当院で取り入れている「漢方薬」についてお話しています。
前回の話はこちらへ → 「漢方薬のはなし9 ~冬の「腎」ケアしませんか?その2~」
少しずつ暖かくなってきて嬉しいですね。
ただそれに伴って花粉症の季節にもなってきました。
私はひどい方ではありませんが、ときおり目がとてもかゆくなります。
なるべくこすらないようにしようと思っているのですが、ついついこすってしまいます…。
実はこの時期から、ワンちゃんの皮膚トラブルも静かに始まってきています。
春は東洋医学では「巡り」が活発になる季節と言われています。
この「巡り」とは、体の中のエネルギーや栄養、水分の流れのことです。
春は、冬にためていた力が外へ向かって動き出す時期で、本来は良い変化ですが、寒暖差や花粉、環境の変化が重なると、その流れが乱れやすくなります。
すると、
・かゆみが増える
・皮膚が赤くなる
・ベタつきやフケが出る
といった症状が出やすくなります。
当院でも3月くらいから皮膚トラブルのご相談を増える機会が増えてきます。
これは東洋医学的には、「流れが滞っているサイン」になります。
春のケアは、症状を抑えるだけでなく、体の巡りを整えることが大切です。
生活リズムや食事を見直し、体質に合わせて内側から整えることで、皮膚も安定しやすくなります。
現在は西洋薬も良いものがあり、強いかゆみを伴う皮膚病でもステロイド剤に頼らなくても治療が可能になっています。
獣医療の発展に感謝ですね。
ただいつもお薬で落ち着いている仔もこれからの季節はかゆみが強くなってくるかもしれません。
春は変化の季節です。
だからこそ、少し早めのケアをおすすめします。
西洋医学的な治療で炎症を抑えることはもちろん大切ですが、東洋医学では「なぜその子の皮膚に出ているのか」という体質を重視します。
春の皮膚トラブルは大きく分けて3つのタイプがあります。
まず一つ目は、赤みとかゆみが強いタイプ。
春の外的刺激によって体の表面に熱がこもり、かゆみとして現れます。早めに体の「こもった熱」を外へ逃がすケアが大切です。
二つ目は、ベタつきや繰り返す化膿傾向のあるタイプ。
体の中に余分な湿がたまり、皮膚に排出されることで起こります。体内の水分代謝を整えることがポイントになります。
三つ目は、乾燥やフケが目立つタイプ。
皮膚を潤す力が弱くなっている状態で、特にシニアの仔に多く見られます。
内側から潤いを補うケアが重要です。
このように、同じ「皮膚炎」でも体質によってアプローチは異なります。
当院では3月より、狂犬病ワクチンの接種やフィラリア・ノミダニの予防など来院するワンちゃんも増えてきますので、その診察の際に皮膚のチェックも行い、それぞれのタイプに合わせた漢方的なサポートもご提案しています。
春の皮膚トラブルは「出てから抑える」よりも、「悪化する前に整える」ことがとても大切です。
毎年春に皮膚が悪化してしまう仔、
お薬をやめるとすぐに再発してしまう仔
は、体質から整えていくのもよいかもしれません。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。