漢方薬のはなし12 ~犬と猫の歯周病について~
獣医師の林です。
この「陽だまりしっぽ通信」では、現在当院で取り入れている「漢方薬」についてお話しています。
前回の話はこちらへ → 「漢方薬のはなし11 春からの皮膚病対策をしませんか?その2」
今回は東洋医学の面から犬と猫の歯周病についてお話をしようと思います。
「お口」だけではなく、体全体から考えるケア
犬や猫の歯周病は、とても身近な病気です。
3歳以上では多くの子に歯石や歯肉炎が見られるとも言われています。
「歯磨きが大切」ということは広く知られるようになってきましたが、実は東洋医学では、歯や口の状態を「全身のバランスの乱れのサイン」として考えることがあります。
東洋医学では「歯」はどことつながっている?
東洋医学では、体を部分ではなく“全体のつながり”で考えます。
その中で歯は特に、
「腎(じん)」 「胃(い)」 「脾(ひ)」
との関係が深いとされています。
「腎」と歯の関係
東洋医学でいう「腎」は、単なる腎臓だけではなく、
生命力、老化、骨、 歯
などを支える働きと考えられています。
そして
年齢とともに歯が弱くなる、ぐらつく、抜けやすくなる…
こうした変化は「腎」のエネルギー低下と結びつけて考えることがあります。
そのため特にシニアのワンちゃん猫さんでは、
・歯周病が進みやすい
・ 治りにくい
・口臭が強くなる
といった変化も見られやすくなります。
歯周病の症状から体質を考える
1.歯ぐきが赤い・腫れるのは「熱」のサイン?
歯周病では、
歯ぐきが赤い、 腫れる、 出血する、 口臭が強い
といった症状が出ます。
東洋医学では、このような炎症を「熱(ねつ)」として考えることがあります。
・ 水をよく飲む
・舌が赤い
・暑がり
・イライラしやすい
・口を気にする
こうした様子がある場合、「体の中に熱がこもっている」タイプかもしれません。
2.「よだれ」「ネバつき」は湿(しつ)のサイン?
東洋医学では、
・ ベタつく汚れ
・強い口臭
・よだれ
・歯石がつきやすい
などを「湿(しつ)」や「痰(たん)」という概念で考えることがあります。
特に、
・太り気味
・胃腸が弱い
・軟便になりやすい
などの症状がある仔は、体の余分な湿がたまりやすいと考えられます。
湿が多い状態では、
・炎症が長引く
・ 汚れが停滞する
・ニオイが強くなる
などの傾向が出ることもあります。
次回は歯周病について東洋医学でできる対策についてお話をしようと思います。